特定建築物定期調査を実施する目的とは
劇場、百貨店、ホテル、病院、物販店、共同住宅、事務所など多くの人々が利用する建築物(このような建築物を「特定建築物」といいます。)は、ひとたび火災などが発生した場合、大きな災害につながります。
このため、建築物には防火区画の適切な設定、避難階段、避難器具の整備、 前面空地の確保など多くの安全対策が必要とされています。
しかし、これらの避難施設・防火設備は、日頃の維持管理を怠ると有事の際に本来の機能を発揮できません。また、建築物の躯体、外部設置機器、塀などの劣化状況・避難施設などの維持管理状況を把握し、事故等を未然に防止する他、建物を末永く良好な状態に保てる様に調査を行い、保全に努めなければなりません。
そのため、建築基準法では、定期的に調査資格者が調査を行い 特定行政庁に報告することが義務づけられています。
調査資格者
一級建築士、二級建築士または国土交通大臣が定める資格を有する者(特定建築物調査員)
建物の調査、検査は建物に最も詳しい『建築士』に依頼しましょう!

建築士に建物の調査、検査を依頼するメリット

調査・検査は特定の講習を受けた「特定建築物調査員」や「建築設備検査員」「防火設備検査員」でも行えますが、調査、検査を行うには経験と知識が必要であり、建築や設備の本当の意味でのエキスパートは一級建築士、二級建築士であります。
建築士であれば特定建築物調査員、建築設備検査員、防火設備検査員に比べて建築全般にかかる豊富な知識と経験を有しており、中でも一級建築士は特に優れた知識と判断力を持って対応ができます。
確かな調査、検査を実施するためには建物を一から作り上げてその建設過程に携わり、その後のメンテナンスまで知識がある一級建築士、二級建築士が検査することが最も確かな検査ができると言えるでしょう。
当社では大手建設会社や設計事務所での豊富な施工、設計経験を持った一級建築士、二級建築士が検査に対応します。お客様の大切な建物の重要な調査・検査を依頼するのであれば、建築士への依頼が最も安心できます。
定期報告対象建築物及び報告時期一覧(令和3年8月30日現在東京都の場合)
用途 | 規模又は階 いずれかに該当するもの | 報告時期 |
劇場、映画館、演芸場 |
・地階 ・F≧3階 ・A>200㎡ ・主階が1階にないものでA>100㎡(※) |
毎年の11月1日から 翌年の1月31日まで (毎年報告) |
観覧場(屋外観覧席のものを除く)、 |
・地階 ・F≧3階 ・A>200㎡ (※) |
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旅館、ホテル | F≧3階 かつ A>2000㎡ | |
百貨店、マーケット、 |
F≧3階 かつ A>3000㎡ | |
地下街 | A>1500㎡ | |
児童福祉施設等(注意4に掲げるものを除く。) |
・F≧3階 ・A>300㎡ (※) |
5月1日から |
病院、 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、 児童福祉施設等(注意4に掲げるものに限る。) |
・地階 ・F≧3階 ・A≧300㎡ (2階部分) ・A>300㎡ (※) |
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旅館又はホテル (毎年報告のものを除く。) | ||
学校、学校に附属する体育館 | ・F≧3階
・A>2000㎡ |
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博物館、美術館、図書館、 ボーリング場、スキー場、 スケート場、水泳場、 スポーツの練習場 (いずれも学校に附属するものを除く。) |
・F≧3階
・A≧2000㎡ |
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下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途と この表(事務所等を除く。)に 掲げられている 用途の複合建築物 |
F≧5階かつA>1000㎡ | |
百貨店、マーケット、 勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売業を営む店舗 (毎年報告のものを除く。) |
・地階 ・F≧3階 ・A≧500㎡ (2階部分) ・A>500㎡ |
5月1日から 10月31日まで (3年ごとの報告) (令和元年、令和5年・・) |
展示場、キャバレー、 カフェー、ナイトクラブ、 バー、 ダンスホール、遊技場、 公衆浴場、待合、料理店、飲食店 |
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複合用途建築物 (共同住居等の複合用途及び事務所等のものを除く。) | ・F≧3階
・A>500㎡ |
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事務所その他これに類するもの | 5階建て以上で、延べ面積が2000㎡を超える建築物のうち F≧3階かつA>1000㎡ | |
下宿、共同住宅、寄宿舎 (注意4に掲げるものを除く。) |
・F≧5階かつ A>1000㎡ | 5月1日から 10月31日まで (3年ごとの報告) (令和元年、令和6年・・) |
高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅又は寄宿舎 (注意4に掲げるものに限る。) |
・地階 ・F ≧3階 ・A≧300㎡(2階部分) |
(注意)
- F≧3階、F≧5階、地階とは、それぞれ3階以上の階、5階以上の階、地階で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。
- Aは、その用途に供する部分の床面積の合計をいいます。
- 共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く。)の住戸内は、特定建築物の定期調査の定期検査の報告対象から除かれます。
- 高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途とは、共同住宅及び寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る。)並びに児童福祉施設等(助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所、盲導犬訓練施設、救護施設、更生施設、老人短期入所施設その他これに類するもの、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、福祉ホーム及び障害福祉サービスを行う事業所に限る。)をいいます。
- 用途、規模等。初回免除の考え方 (新築の建築物は、検査済証の交付を受けた直後の時期については報告する必要はありません。)
等に付いては東京都都市整備局のホームページを併せて御覧ください。
特定建築物等定期調査はどのような検査をするの?
調査の項目は大きく分類すると、以下の5項目になります。
調査は、各項目共通で建築物の現況と法規関係は現行法規等に基づいての調査となります。
1.敷地の調査状況
敷地の地盤沈下・敷地内排水・擁壁・がけ等の現況および維持状況の調査
2.一般構造の調査状況
採光に有効な開口部の状況、換気設備の設置状況調査
3.構造強度の調査状況
基礎・土台・柱・梁・壁・天井・外壁・屋外設置機器等の欠損・劣化・緊結状況等の現状調査及び塀・工作物等(独立看板等)の設置状況・劣化等の現況調査
4. 耐火構造等の調査状況
外壁・屋根・開口部・内装仕上げ等の耐火・防火性能の確認及び防火区画の状況並びに、防火設備(扉・シャッター等)の設置・維持管理・点検状況等の調査
5. 避難施設等の調査状況
避難通路・空地・出入口・廊下・階段・避難バルコニー・避難器具・非常用進入口等の設置と維持管理の状況及び排煙設備・非常用照明装置・非常用昇降機の設置と維持管理の状況調査
特定建築物定期調査
料金
マンション・共同住宅 | 事務所・福祉施設 | ホテル・旅館・店舗 | |
~500㎡ | 40,000円 | 45,000円 | 60,000円 |
500~1,000㎡ | 45,000円 | 50,000円 | 65,000円 |
1,000~2,000㎡ | 50,000円 | 55,000円 | 75,000円 |
2,000~3,000㎡ | 60,000円 | 65,000円 | 85,000円 |
3,000~5,000㎡ | 70,000円 | 75,000円 | 100,000円 |
5,000㎡~ | 別途お見積もり |
注意事項・見積り条件
- 上記金額には消費税が別途掛かります。
- 上記の金額は、調査費用、書類の作成費用、報告書提出費用が含まれております。
- 調査および検査は平日昼間の実施を想定しています。早朝、夜間作業の場合は別途費用が発生致します。
- 特定行政庁が指定する機関への事務手数料は含んでおりません。
- 調査・検査に必要な図面、各種資料等がない場合、別途費用が発生致します。
- 建物が遠方の場合は別途交通費などが発生する場合がございます。
- 外壁全面打診調査もしくは赤外線診断、アスベスト分析調査などが必要な場合は別途御見積りをさせて頂きます。
- 是正事項等の改修費用は含まれません。
- 上記金額は参考金額です。正確なお見積りはお打ち合わせ、資料等を拝見した上で作成させて頂きます。
調査・点検実績一覧
当社が過去に調査・点検を実施させて頂いた建物でございます。お陰様で民間のビル・施設を中心に公共建築物等、数多くのご依頼を頂いております。建物の規模や用途、お客様のご希望に合わせた適切な調査・点検を行いますので、一度お気軽にご相談ください。
事務所 | 物販店舗 | ホテル等 | 福祉施設 | 共同住宅 | 学校 | 他 | |
2020年度 | 83 | 51 | 29 | 28 | 20 | 21 | 24 |
2019年度 | 79 | 52 | 28 | 38 | 29 | 14 | 36 |
2018年度 | 63 | 52 | 29 | 49 | 62 | 28 | 34 |
2017年度 | 80 | 40 | 13 | 48 | 55 | 23 | 20 |
2016年度 | 82 | 78 | 0 | 6 | 32 | 17 | 12 |
2015年度 | 7 | 72 | 5 | 7 | 88 | 31 | 5 |
2014年度 | 1 | 22 | 0 | 28 | 45 | 17 | 0 |
2013年度 | 3 | 9 | 0 | 7 | 40 | 21 | 0 |
2012年度 | 1 | 14 | 1 | 21 | 39 | 0 | 0 |
特定建築物定期調査、建築設備定期検査、防火設備検査員に関するQ&A
Q.報告しなかった場合に罰則はあるのでしょうか?
A.報告書の提出は建築基準法第12条に定められた法令なので、報告を怠ってしまうと法令違反となり、100万円以下の罰金が科せられることがあります。
Q.提出期限から遅れた場合でも報告書は受け付てもらえるのでしょうか?
A.多少遅れても受け付けてもらえます。ただし、検査を行うことは建物の利用者・居住者の安全を守るためにも重要なことであり、その報告書を提出するのは適切な時期に定期的に行うことに意味がありますので法令に従った期間内に提出すべきだと考えます。