防火設備定期検査

防火設備定期検査を実施する目的とは

これまで防火設備の点検は、特定建築物の定期調査で行っていましたが、平成25年10月に発生した福岡市診療所での火災死亡事故を受けて、新たに「防火設備」の定期検査が新設されました。この事故では、防火設備が未設置であったり、防火扉が適切に機能しなかったために被害が拡大したとされ、防火設備の維持管理を強化する目的で、建築基準法の定期報告制度に新たに追加されることとなりました。

防火扉や防火シャッター等の防火設備の点検は、建築基準法と消防法の間で点検項目が曖昧なままでした。防火設備自体の設置については建築基準法で定められていますが、熱感知器・煙感知器との連動制御部分は消防法で定められております。

検査イメージ

その為、防火扉や防火シャッターの作動チェックが実際に各建物でどの程度実施されているかはよくわからない状況、要するにどこまで点検するかは点検する業者次第でした。

いざ火災事故が発生したときには、被害の拡大を防ぐために重要な設備となりますので建築基準法では、定期的に検査資格者が調査をおこない、特定行政庁に報告することが義務づけられています。

検査資格者

一級建築士、二級建築士または国土交通大臣が定める資格を有する者(防火設備検査員)

建物の調査、検査は建物に最も詳しい『建築士』に依頼しましょう!

劇場や百貨店、ホテル、病院、物販店、共同住宅、事務所ビルといった、常に多くの人が利用し、万一大きな火災等が発生すると思わぬ大災害につながってしまう可能性がある建物を「特定建築物」と言い、万一の事故を防ぐために資格者が防火区画の適切な設定、避難経路の確保、前面空地の確保、設備などの安全対策がなされているか、さらに安全対策、設備が正常に機能するかを調査を行う必要があります。
建築物の躯体や外壁、設備などは経年劣化により老朽化し、ひび割れや浮き、爆裂などにより実際に外壁タイルが落下する事故や、老朽化した看板が落下する事故、またいざ火災が起こった時に防火設備・排煙設備が作動しなかったり、非常照明が点灯しないなど、設備が機能しないために死傷者が発生する事故などを未然に防ぐためにも、定期的な検査、調査で建築物の劣化状況を把握し、建物の良好な維持管理に努める必要があります。
私たちは、建築・設備に関し、経験と知識が豊富な一級建築士、二級建築士がお客様の所有する建物に伺い、適切な調査・検査を行い関連機関への報告を行っております。当社では国が定めた技術基準に基づき適切な調査・検査を、他社よりも取り組みやすい適正な金額で行いますので、お気軽にご相談ください。

建築士に建物の調査、検査を依頼するメリット

調査・検査は特定の講習を受けた「特定建築物調査員」や「建築設備検査員」「防火設備検査員」でも行えますが、調査、検査を行うには経験と知識が必要であり、建築や設備の本当の意味でのエキスパートは一級建築士、二級建築士であります。

建築士であれば特定建築物調査員、建築設備検査員、防火設備検査員に比べて建築全般にかかる豊富な知識と経験を有しており、中でも一級建築士は特に優れた知識と判断力を持って対応ができます。

確かな調査、検査を実施するためには建物を一から作り上げてその建設過程に携わり、その後のメンテナンスまで知識がある一級建築士、二級建築士が検査することが最も確かな検査ができると言えるでしょう。

当社では大手建設会社や設計事務所での豊富な施工、設計経験を持った一級建築士、二級建築士が検査に対応します。お客様の大切な建物の重要な調査・検査を依頼するのであれば、建築士への依頼が最も安心できます。

定期検査報告対象防火設備及び報告時期一覧 (令和3年8月30日現在東京都の場合)

用途 規模又は階 ※いずれかに該当するもの 報告時期
劇場、映画館、演芸場

・地階

・F≧3階

・A>200㎡
・主階が1階にないもので A>100㎡(※)
(※A≦200㎡の場合、階数が3以上のものに限る。)

4月から10月
観覧場(屋外観覧席のものを除く)、
公会堂,集会場
・地階

 

・F≧3階

・A>200㎡ (※)
(※平家建ての集会場で客席及び集会室の床面積の合計が400㎡未満の集会場を除く。)

旅館、ホテル F≧3階 かつ A>2000㎡
百貨店、マーケット、
勝馬投票券発売所、場外車券売場、
物品販売業を営む店舗
F≧3階 かつ A>3000㎡
地下街 A>1500㎡
児童福祉施設等(注意4に掲げるものを除く。) ・F≧3階

 

・A>300㎡ (※)
(※平家建てで床面積の合計が500㎡未満のものを除く。)

4月から11月
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、
児童福祉施設等(注意4に掲げるものに限る。)
・地階

 

・F≧3階

・A≧300㎡ (2階部分)

・A>300㎡ (※)
(※平家建てで床面積が500㎡未満のものを除く。)

旅館又はホテル (用途コード 13 のものを除く。)
学校、学校に附属する体育館 ・F≧3階

 

・A>2000㎡

博物館、美術館、図書館、
ボーリング場、スキー場、
スケート場、水泳場、
スポーツの練習場(いずれも学校に附属するものを除く。)
・F≧3階

 

A≧2000㎡

下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途と
この表(事務所等を除く。)に掲げられている用途の複合建築物
F≧5階 かつ A>1000㎡
用途コード21に該当しない病院、
診療所(患者の収容施設があるものに限る。)
A>200㎡
百貨店、マーケット、
勝馬投票券発売所、場外車券売場、
物品販売業を営む店舗(用途コード14のものを除く)
・地階

 

・F≧3階

・A≧500㎡ (2階部分)

・A>500㎡

4月から12月
及び1月
展示場、キャバレー、カフェー、
ナイトクラブ、バー、 ダンスホール、
遊技場、公衆浴場、待合、
料理店、飲食店
複合用途建築物(用途コード28 及び 34 のものを除く。) ・F≧3階

 

・A>500㎡

事務所その他これに類するもの 5階建て以上で、延べ面積が2000㎡を超える建築物のうち、
F≧3階 かつ A>1000㎡
下宿、共同住宅、寄宿舎(用途コード14のものを除く) F≧5階 かつ A>1000㎡ 4月から9月
高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅又は寄宿舎(注意4に掲げるものに限る。) ・地階

 

・F≧3階

・A≧300㎡(2階部分)

用途コード 41 に該当しない高齢者、障害者等の就寝に用に供する用途 A>200㎡

(注意)

  1. F≧3階、F≧5階、地階とは、それぞれ3階以上の階、5階以上の階、地階で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。ただし、A≦200㎡の場合、階数が3以上のものに限ります。
  2. Aは、その用途に供する部分の床面積の合計をいいます。
  3. 共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く。)の住戸内は、定期調査・検査の報告対象から除かれます。
  4. 高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途とは、共同住宅及び寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る。)
    並びに児童福祉施設等(助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所、盲導犬訓練施設、救護施設、更生施設、老人短期入所施設その他これに類するもの、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、福祉ホーム及び障害福祉サービスを行う事業所に限る。)をいいます。
  5. 用途コードについては東京都都市整備局のホームページを合わせて御覧ください。

防火設備定期検査はどのような検査をするの?

それぞれの防火設備の作動を確認すると同時に、建築基準法112条で規定される防火区画(面積区画・水平区画・竪穴区画・異種用途区画)の確保を、設計図書を用いながらの確認します。

1. 防火扉

防火扉の作動状態の確認、設置の状態や各部分の劣化・損傷の確認、駆動装置部分の確認をするとともに、連動する煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の作動を検査します。

2. 防火シャッター

防火シャッターの作動状態の確認、設置の状態やカーテン部分・ケースなどの劣化・損傷の確認、駆動装置部分の確認をするとともに、連動する煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の作動を検査します。

3. 耐火クロススクリーン

耐火クロススクリーンの作動状態の確認、設置の状態やカーテン部分・ケースなどの劣化・損傷の確認、駆動装置部分の確認をするとともに、連動する煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の作動を検査します。

4. ドレンチャー等

作動状態の確認、各部分の劣化・損傷の確認、加圧送水装置の状態確認をするとともに、連動する煙感知器、熱煙複合式感知器及び熱感知器の作動を検査します。

調査・点検実績一覧

当社が過去に調査・点検を実施させて頂いた建物でございます。お陰様で民間のビル・施設を中心に公共建築物等、数多くのご依頼を頂いております。建物の規模や用途、お客様のご希望に合わせた適切な調査・点検を行いますので、一度お気軽にご相談ください。

  事務所 物販店舗 ホテル等 福祉施設 共同住宅 学校
2020年度 83 51 29 28 20 21 24
2019年度 79 52 28 38 29 14 36
2018年度 63 52 29 49 62 28 34
2017年度 80 40 13 48 55 23 20
2016年度 82 78 0 6 32 17 12
2015年度 7 72 5 7 88 31 5
2014年度 1 22 0 28 45 17 0
2013年度 3 9 0 7 40 21 0
2012年度 1 14 1 21 39 0 0

特定建築物定期調査、建築設備定期検査、防火設備検査員に関するQ&A

Q.報告しなかった場合に罰則はあるのでしょうか?

A.報告書の提出は建築基準法第12条に定められた法令なので、報告を怠ってしまうと法令違反となり、100万円以下の罰金が科せられることがあります。

Q.提出期限から遅れた場合でも報告書は受け付てもらえるのでしょうか?

A.多少遅れても受け付けてもらえます。ただし、検査を行うことは建物の利用者・居住者の安全を守るためにも重要なことであり、その報告書を提出するのは適切な時期に定期的に行うことに意味がありますので法令に従った期間内に提出すべきだと考えます。

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